足利市在住YouTuber:UZUMAXさん
旅荘「巖華園」当主・足利民俗セミナリー:中島太郎さん
弁天様とはどのような神様なの?
インドの川の女神。せせらぎの音が音楽や弁舌につながる才能の神としての「弁才天」という側面と、水による恩恵を施す七福神の財宝の財宝神としての「弁財天」という2つの性格を持ち合わせています。
長尾七弁天は誰が、なぜ祀ったの?
長尾弁天を祀ったのは足利長尾氏の3代目、長尾景長という人物です。かつて代官として足利を支配していたのは平家の血を引く長尾氏でした。長尾の「長」は本来「蝶」という字を書くのですが、この蝶は平家の家紋です。
平家の平清盛は、源頼政が挙兵した際、平家の別荘地だった福原(現在の神戸市兵庫区))に都を移そうとしました。しかし福原という場所は地形的に南北に狭く使い勝手が悪かったため、わずか半年で京都に戻ってしまいました。清盛は遷都するに際して「清盛七弁天」を祀っており、これに倣った形で長尾景長は「長尾七弁天」を祀ったようです。両崖山城(足利城)の7つの登り口に7つの弁天社を置いて祀り、守りの兵を置いたと伝えられています。
長尾七弁天はどこにあるの?
足利城の登り口に勧請し、守りの兵を置いたという軍略的な理由から、山に沿った七箇所に位置しています。
明石弁天(本城厳島神社 通称:美人弁天)
所在地:栃木県足利市本城2丁目-1860 長尾七弁天のひとつと言われています。大手門(城の顔となる正面玄関)に対する裏門として、搦手(からめて)門があったとされている場所です。 ▼長尾七弁天についてYouTube「足利ち […]
厳島神社(通6丁目 通称:長尾弁天)
所在地:栃木県足利市通6丁目3177 元々、西宮町の長林寺にあったものが遷座したものです。 長尾城主(3代目景長)が西宮町長林寺の境内に祀りましたが、明治元年の神仏分離令により遷座し、巌島神社となりました。長尾七弁天の中 […]
長尾七弁天と、2021年に起きた山火事の不思議な関係
2021年2月、両崖山でタバコの不始末が原因とされる山林火災が発生しました。乾燥と赤城おろしの強風で拡大し、住宅地に迫る大変な火災になりましたが、消防隊の活躍により鎮火し、怪我人や民家の被害は出ませんでした。
この火災で、石造りの御岳(おんたけ)神社は燃えなかったものの、足利城の主郭本丸にあった天満宮と月読命(つくよみのみこと)三日月神社が焼失してしまいました。
堀川国広に山姥切を作らせた、6代目当主の長尾顕長がかつて足利城中に勧請した白山神社という神社がありました。これは足利城の落城に際して月谷町の福和田地区に「山神社」として遷座されたのですが、山火事ではその目前まで火が延焼したものの、火難を免れました。
そして足利城の外郭部に勧請された長尾七弁天へも火が迫りましたが、最終的には被害を受けず、七弁天が延焼を食い止めた消防の最前線の防衛ラインと重なっていたということがわかっています。